『ぼっちに向かう』のではなく、『ぼっちが過程』の作品ではどうしても感情移入出来ない。
と、私は思います。
昨今、『ぼっち』をテーマとして取り扱う作品というのは結構あると思います。
特に、ぼっちの学生がなんやかんやして、結局良い友達が出来てハッピーエンド、みたいな。
ある意味ステレオタイプ化してきている感じもありますね。
今で言うと、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』とかが有名作品になるのでしょうか?
無料で読めるので読んでみてはいかがでしょうか。私も読んでます。
http://www.ganganonline.com/contents/watashiga/
こういう作品を楽しんで読める人は、やっぱり『ぼっち』になるのでしょうか?
マーケティング分析するのは全く得意でもありませんが、全然ぼっちでない人がこの手の作品に惹かれるような気はあんまりしないですし(反対の人間に対する興味が沸くより先に嫌気が差してしまう気がする)、やっぱり自己投影できる『ぼっち』の人が主な読者層なのかなと思います。
ただ、非常に気になるのが、この手の作品は『ぼっち』が最終着地点なのではなく、出発地点であることです。
『ぼっち』をテーマにするのだから、逆が合ってもいいハズであるのに、全くありません。(もしあったら是非教えて頂きたいです。すごく興味があります)
いや、分かります。
それでは物語にならないと。
ぼっちが遂にぼっちじゃなくなる、という所に物語としてのカタルシスがあり、最後にぼっちになるんじゃどうしようもないと。
逆に主人公が凄くイヤな奴で、そいつがぼっちへと堕ちて行くなら読者もカタルシスを得られるかもしれませんが、主人公がひたすらヘイトチャージする漫画というのもどうかと思いますしね…。
ただ、それでは私はどうしても感情移入出来ないのです。
何故なら、今の自分は『終着点にいる』と思っているから。
漫画の中の『ぼっち』は、作品内でどれだけ劣悪な環境に置かれていても、これから先、そこから脱却して、『やっぱり人と人とのつながりって大事だなぁ』みたいな哲学をし始めることが約束されています。
でも、自分の人生に約束された未来はありません。
勿論、『自分次第で変われる』というのはありますが、20年来『ぼっち』の人間にそんなことが出来る訳もなく。
学校も卒業し、勤め先の狭い部署で働き続ける毎日、漫画のようなふとした出来事をきっかけに変われるはずもなく。
後はすり減るだけのロスタイムを生きる自分を、輝かしい未来が約束された漫画のキャラクターにどうしても重ねることが出来ないのです。
たぶん、上手く重ねている人はいくらでもいるのでしょう。
学生さんなんかは特に、『自分もいつか…』なんて夢を貰うことは容易いのだと思います。
私はそういう楽しみ方が出来ないのがもどかしいのです。
どうしても、第三者的な視点での楽しみ方になってしまいますから。
逆に、淡々と、破滅と言える程でもない孤独な虚無へと向かって行く主人公の漫画があれば、きっと感情移入出来ると思うのです。
そんな作品に出会いたい。