ネットでは有名?作品『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』についてのレビューです。
『ぼっち』を取り扱う作品としては一番有名?でしょうか。
アニメ化もした(アニメは私は見てない)作品で、現在web連載中です。
http://www.ganganonline.com/contents/watashiga/
無料で閲覧できるので、興味のある人は是非。
この作品については熱烈なファンが多数おり、毎話毎に詳細なレビューを行っている人もいるくらいなので、私からわざわざそれにプラスで語ることも無いでしょう。
私にとってのこの作品像を、少しだけ。
私にとってのこの作品は、『英雄譚』です。
とある村で生まれた勇者が、修業して、旅を続けて、仲間を作って強くなり、最後には魔王を倒す…。
舞台はそのまま現実ですが、私にとって『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』はそういう物語です。
主人公である『もこっち』は、絵に描いたような『ぼっち』です。
ネットにどっぷりとはまり、現実を伴わない、極化したネットの思想に毒され、現実を呪い、拗ねた思想で斜に構えた、非常に共感しやすい主人公です。
で、そんな『ぼっち』が、『ぼっちあるある』で読者の共感を呼び込みながら、最後には(というか現在進行形)でぼっちを脱却していく、という漫画になります。
とまあ、あらすじだけ書き出せば『ステレオタイプなぼっち漫画』ではあるのでしょうが、私にとって『英雄譚』である所以。
『もこっち』が、『無様で勇敢な勇者』であることです。
主人公である『もこっち』は、自分が正しいと思ったことを実行出来る、強い心を持っています。
でも、それは『弱いものいじめを許さない』とか、『誰かを助けてあげる』とか、そういう『キレイで誰もが認める美しさを』伴わないのです。
時にそれは誰かを貶めるものであったり、無意味であったり、他人に迷惑を掛けるものであったり、恥をかいたりするものであったりするのですが、彼女はそれでもやり遂げようとするのです。
正義感でもなく、誰かのためでもなく、誰に共感されるでもなく、自分の信ずるままに行動を起こす。
そういう姿に、私は『勇者』を見るのです。
彼女が信じた自分は、大抵が間違いです。
周りから見れば『何やってるの?』というモノであったり、時には自分で振り返ってすら『アレはおかしかったな…』と反省するくらい、間違った行為ばかりです。
それでも彼女はへこたれない。こりない。反省しない。そしてやっぱり失敗して恥をかく。
『ボッチじゃない人』からすれば理解出来ないのだけれど、そこには確かな勇気と努力がある。
そんな勇者の青春群像劇を見るのが、私は楽しいのです。
巷では『百合漫画』とか言われているようですが、私にとってはそこはどうでも良くて、別にもこっちが彼氏を作っても構いません。
というか、作ってくれてもいいし、その過程を覗いてみたい。
きっと彼女は、やっぱり何かを間違えて、どこか失敗するのだろうけど、勇敢に恋をして、青春を謳歌するのでしょう。
そうして、勇者はまた一つ強くなり、物語の終わりに向かって進んで行く。
それが、私にとっての『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』です。